The Japanese Art of Touch
指圧が教えてくれる、体のこと・こころのこと
2021年8月号
日本の伝統的なホリスティック(総合的)療法「指圧」。英語では文字通り「Finger Pressure」と訳されることもある。私たちの体には、エネルギー(日本語で「気」)の通り道があり、そこには数えられないほどの「ツボ」が存在する。指圧は、ツボを刺激することで人の身体に本来備わった治癒力の維持や強化を促すセラピーだ。
指圧師は、親指や手のひらはもちろん、肘や膝、時には足も使って、人の身体に点在する「ツボ」や「経絡」と呼ばれる特定のポイントを刺激し、それは、患者と呼吸を合わせ、まるで一体であるかのように行われる。ツボの滞りを解消し、気の流れを促進することで、ストレスの軽減、血液やリンパの循環・神経伝達・内蔵機能などの向上、ホルモン分泌の調整、免疫の強化、心身の統合など、身体的・精神的に数えきれないほどの効果があると言われている。
京都出身、現在はフランスのランスで指圧セラピストとして活躍する水口洋子さん。彼女が語る、指圧の魅力とは? 指圧が彼女の人生にもたらしたこととは?
上海在住時には、フットリフレクソロジーを学び、セラピストの資格を取得しました。 その後、フランスで本格的に指圧の道に進むことを決意しました。 4年間の勉強と研修の期間中、指圧について学んだり実践したり、すればするほど自分自身の健康状態も大きく改善されていくことに気づきました。 指圧が私たちの健康に貢献できる、無限の可能性を秘めていることを、自分の身体と体験で確信できる期間でした。そして、指圧はすぐに私の生活に欠かせないものとなりました。
KVG:指圧の素晴らしさを表現するとしたら?
Hiroko:指圧は、人を助けることができる最も穏やかな技法の一つだと思っています。 現在、ランスにあるルネッサンスセンターというところで指圧セラピストとして仕事をしていますが、妊婦さんから小さな子供まで、指圧を通して様々な問題を抱えた人々に出会います。定期的に老人ホームを訪問して、高齢者の方に指圧を受けていただくこともあります。 指圧は全く難しいものではありません。むしろ、とてもシンプル。シンプルでありながら、周りの人や自分自身に平穏を与えることができるところが素晴らしいです。
指圧は単に痛みを和らげたり、不調を改善したりすることだけを目的にしているのではありません。ご縁があって出会えたすべての患者さんに、思いやりを持って接するようにしています。あるときは一人の女性として、またあるときは誰かの子供や妻や、母として、違った目線でお話しします。 東洋療法に興味を持って来てくださった方にお会いできるのはとても嬉しいことですが、それ以上に嬉しいのは、その方が指圧を通して自分の身体や心に気づくことができたと感じられたときです。
指圧は、人と人との間に調和を生み出すユニバーサルな療法です。私たちの健康を増進してくれるだけでなく、気持ちに平穏や調和を生み出します。どんな時代になっても、人と人との触れ合いはなくなりません。指圧セラピストとして、指圧を通して愛や平穏を伝えていきたいです。また、世界のほかの指圧セラピストやヒーリングに長けた人たちとコラボレーションして、私たちセラピストが世界に調和を広めていけたらもっと楽しいですね!